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- 麻雀新撰組 小島武夫 スペシャルインタビュー(3/3)
―阿佐田先生が麻雀界に残された功績はなんでしょうか。 本当にたくさんあるね。阿佐田先生が出てこなかったら、僕らなんか単なる雀ゴロじゃなかったかな。それが一番大きいよ。僕がプロ第1号だって言われているけど、それはやっぱり阿佐田先生のおかげよね。だからその功績がすごかったよ。
―阿佐田先生が新撰組をつくる以前はプロという存在はあったのでしょうか。 ―阿佐田先生の麻雀作品の多くは戦後が舞台になっていますが、当時の麻雀界、雀荘というのはどのような雰囲気だったのでしょう。 その頃僕は20歳くらいで博多にいたんだけど、当時の雀荘はゴロツキの集まりだったね。親戚のおじさんなんかにあんなとこに出入りするのはろくなもんじゃないと怒られてたもん。そんな時代でしたね。最初はセット麻雀が主流だったけど、そのうち大阪発でブー麻雀というのが流行ってね。それから急激にフリー打ちの雀荘が増えたね。 ―戦後の雀荘の雰囲気というのは、荒々しいイメージがあるのですが。 そうだね。イカサマがばれたときなんかは喧嘩になったりもするわけよ。でもそのイカサマというのは高度なものじゃないのよ。牌をにぎってたとかすり替えてたとか、その程度の幼稚なものだったのよね。だけど阿佐田先生が小説としておもしろくするには手際が良いイカサマをやってた風にしたほうがおもしろいじゃない。例えば作品の中に出てくるツバメ返しなんてテレビ用に僕が考えた技だよ。 ―阿佐田先生の作品には、そのような凄いイカサマ技であったり、色々な刺客が登場したりしますが、実際にモデルとなる人がいたのでしょうか。
まぁあれはフィクションの部分が多いのよ。捕鯨船の男とかモデルはいたんだけど、実際は単なるそこらへんのおっちゃんなわけよ。だけどそこからキャラクターをイメージする発想が、すごく上手だったよね。分かりやすいのが、麻雀放浪記が出たあとにね、有名な作家の人たちがみんな麻雀小説を書くことをやめたんだよね。それは阿佐田先生の作品がおもしろくて敵わないから。まあ何人かはそれでも時々麻雀小説書いてたけど、あんまりおもしろくなかったよね。阿佐田先生の小説は、やっぱり人物設定が抜群におもしろかったよ。 (終)
小島武夫 |
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